2016/11/13更新
最近、疲れがたまりやすいというか、疲れが抜けきらないというか、どうも体にダルさが残っていることが多いです。
これが加齢、老化という奴なのでしょうか。
20代の頃などはいくらでも無理が効きましたし、一晩シッカリねむれば次の朝にはドラクエのようにHPは全回復していたはずなのですが…
こう疲れが溜まってくると恋しくなるのが温泉です。
濁音交じりの何とも言えない親父臭い声を発しながら熱い温泉に浸かって体の疲れを全て溶かしてしまいたくなります。
手足を伸ばすことのできる広い湯船に何も考えずにボ~っと浸かっていると身体も心も軽くなるような気がしますよね。
そんなわけで今日は諏訪の温泉の話。
かつては大人気だった諏訪の温泉
数日前にこんな記事を読みました。
日本人の温泉好きは今に始まったことではなく、昔から名湯と呼ばれる温泉が全国各地にありました。江戸時代には、まぁ、最近で言うところの〇〇ランキングとか、打線組んでみたみたいなノリの「諸国温泉功能鑑」という温泉番付が作られており、今でも人気の温泉が名を連ねています。
そんな中、地元諏訪の温泉も東の小結として紹介されていました。
現在でも諏訪は全国有数の温泉街で、いたるところに足湯や浴場などの温泉施設がありますが、最近は温泉が全国各地で新たに掘られたことなどもあり、なかなか人気上位に名を連ねることもなくたりました。しかし、この頃の諏訪の温泉は今とは比較にならないくらい大人気だったんですね。
そんな大人気の温泉だった頃に作られたであろう物語を追いながら、諏訪の温泉をご紹介します。
上諏訪・下諏訪温泉の源泉?諏訪大社本宮の明神湯
諏訪は11月ともなるとグッと寒くなりますので温泉のありがたみを非常に強く感じます。先に書いたように諏訪は全国有数の温泉街で、いたるところに足湯や浴場などの温泉施設があります。
しかし、不思議なことに、その多くは諏訪湖の東側、上諏訪と下諏訪にあり対岸の岡谷には古くからの施設はほとんどありません。(新しいものは岡谷側にも結構あります。)
これは何故なのか。諏訪にはこの疑問にまつわる面白い言い伝えがあります。
諏訪大社上社の本宮に諏訪の温泉の源泉と言われる明神湯という温泉があります。
本宮に西の鳥居から入ると直ぐ左手に手水社がありますが、その3mほど奥に明神湯はあります。
案内にもありますが、諏訪明神ゆかりの温泉とされており、諏訪の夫婦神がご愛用された温泉だそうです。
冬場は手水が冷たいため、こちらを使われる方が多いです。「温泉なんかじゃお浄めにならん!!」とおっしゃられる方も多いですが、まぁ、神様が愛用した、神様が身を清めるのにお使いになった温泉ですので、たぶん、お浄めにはなると思いますよ。
さて、話を戻します。
この温泉が諏訪の温泉の源泉と言われているわけですが、それは一体何故なのでしょうか?これには一つの伝説が関わっているのです。
湯玉(ゆだま)伝説
どんなになかの良い夫婦でも、時には喧嘩になるものです。諏訪の夫婦神もそうでした。
ある日のこと、諏訪明神こと建御名方命(たけみなかたのみこと)は妃の八坂刀売命(やさかとめのみこと)とケンカをしてしまいます。怒った妃は下諏訪(下社)へ移ってしまった。この時、お気に入りの温泉(明神湯)を化粧用に持っていこうと、綿に湿らせて湯玉にして運んだのですが、途中でポタポタと滴り落ちたしずくが上諏訪温泉となりました。そして、下社にお着きになり、その湯玉を置かれたところから湧いたのが下諏訪温泉だと言われています。
妃が上社から下社へ行かれる際に、岡谷側ではなく、上諏訪側を通って行かれたこと、そしてその時に明神湯の滴が落ちたために岡谷には温泉が少なく、上諏訪側には温泉が多い理由だと言われているのです。
そして、滴の元である明神湯は上諏訪・下諏訪温泉の源泉の源泉ということで、諏訪の温泉の源泉と言われているというわけです。
ちなみに、この伝説や御神渡りの伝説のために、一般的に上社に建御名方、下社に八坂刀売が祀られていると思われがちですが、上社にも下社にも建御名方と八坂刀売のお二人ともが祀られています。仲の良い夫婦の神様ですのいつでも一緒です。
綿の湯
湯の滴から湧いたのが上諏訪温泉、湯玉を置かれたところから湧いたのが下諏訪温泉というこの神話に基づいて名づけられたという伝承をもつのが「綿の湯」です。下諏訪で最も古い温泉ですが現在は取り壊され、その跡が保存されています。
今も温泉が湧き出ています。写真だと分かりにくいですが、大変な湯量で中央の石がお湯の力で動いています。
中山道と甲州街道の合流点にある宿場町の温泉
綿の湯跡地には陶板のレリーフが飾られていますが、下諏訪温泉が賑やかかだった頃の様子がよく分かります。
下諏訪温泉のある下諏訪宿は、古くは全国の武士の尊崇を受ける諏訪神社の総本社が鎮座する門前町として、また交通の要衝地として栄えました。
【下諏訪宿】甲州道中と中山道が合流するいで湯と信仰の里 - ヘソで茶をわかす
下諏訪宿は中山道で唯一の温泉地でした。中世より、この地は湯の町として知られており、多くの旅人が疲れを癒した温泉場だったのです。
そして、共に難所の和田峠と塩尻峠の間にあることもあり旅人にとって格好の休憩地となり、非常に栄えた宿場となったのです。
このあたりが江戸時代の温泉番付で上位に名を連ねた理由なのでしょう。
230円から楽しめる下諏訪温泉
上諏訪温泉も下諏訪温泉もどちらも良い温泉です。
ですが、手軽に温泉に浸かれるということになれば下諏訪温泉に軍配が上がるのではないかと思います。
なにせ下諏訪温泉は料金が安いですから。
加えて狭い範囲にいくつも温泉施設があるので、一度にいくつもの温泉を楽しむことも可能なのです。そして、同じ下諏訪温泉なのに、それぞれの施設で特徴も随分と違います。
諏訪大社下社の周辺だけでも下記のとおり数多くの温泉施設があります。
諏訪大社下社参拝と共に温泉めぐりも楽しいと思いますよ。
旦過の湯
住所 | 長野県諏訪郡下諏訪町湯田町 |
営業時間 | 5:30~22:00 |
定休日 | 無休 |
入浴料金 | 230円 |
泉質 | ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉 |
効能 | 神経痛、筋肉痛、関節痛、切傷、火傷 |
旧中山道にある、修業僧の為に建てられた旦過寮のお湯です。2012年12月にリニューアルされ露天風呂もあります。
熱いです。とにかく熱いです。しかし個人的にはおススメです。
新湯
住所 | 長野県諏訪郡下諏訪町御田町 |
営業時間 | 5:30~22:00 |
定休日 | 無休 |
入浴料金 | 230円 |
泉質 | ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉 |
効能 | 神経痛、筋肉痛、関節痛、リウマチ |
昭和初期の銭湯が味わえる共同浴場です。
菅野温泉
住所 | 長野県諏訪郡下諏訪町大社通 |
営業時間 | 5:00~22:00 |
定休日 | 無休 |
入浴料金 | 230円 |
泉質 | ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉 |
効能 | 神経痛、筋肉痛、関節痛、高血圧症 |
レトロな雰囲気を残している共同浴場です。下諏訪駅から秋宮に向かう途中にあります。
矢木温泉
住所 | 長野県諏訪郡下諏訪町矢木東 |
営業時間 | 5:30~22:00 |
定休日 | 無休 |
入浴料金 | 230円 |
泉質 | ナトリウム・カルシウム-硫酸塩・塩化物泉 |
効能 | 神経痛、筋肉痛、関節痛、高血圧症 |
国道20号に看板が出ているので、地元以外の人も訪れやすいです。
春宮の近くにあります。
諏訪の女神が愛した上諏訪温泉・下諏訪温泉
今回紹介した下諏訪温泉はもちろん、上諏訪温泉も片倉館や上諏訪駅の足湯、間欠泉など人気の温泉が数々あります。
諏訪明神夫婦がご愛用していた明神湯。そしてそれから湧き出た上諏訪温泉と下諏訪温泉は女神が化粧用に使うくらい、とても澄んだきれいな温泉です。
女神が愛用するくらいです。きっと美容にも良いのでしょう。良いに決まっています。ええ、科学的な根拠とかは一切ないです。でも、そんな気がします。しますよね?
と言うことで、最後がかなり強引になりましたが、神話の時代から続く美人の湯に浸かりに、是非一度お越しください。
では、また。