忠臣蔵の敵役、吉良上野介の孫の吉良義周の話で紹介した法華寺だが、このお寺には他にも面白いエピソードがある。
この記事でも少し触れたが、このお寺は織田家による武田攻めの際に、信長が滞在していたのだ。その際、日本史を動かした(?)事件が起きています。
いや、事件と呼ぶ程でもないかな?まぁ、一悶着あったわけです。その結果なのか、どうなのか、日本の戦国史は大きな転換点を迎えるのです。
なんと、ここで、あの本能寺の変の原因ともいわれる事件が起きているのです。
今日は、そんな「その時歴史が動いた」的なお話です。
信長、法華寺に着陣
日本史最大のミステリーと言えば、邪馬台国・竜馬暗殺・本能寺の変のどれかが名前に上がります。そのくらい、様々な仮説が本能寺の変については語られています。そんな数々の仮説の中でも、特によく言われているもので、信長の常軌を逸した光秀イジメが原因だという説があります。その説を補強するエピソードが法華寺には残っています。
天正10年(1582)、織田信長は武田征服の際、法華寺に滞在しています。信長に先んじて諏訪入りした織田信長の嫡男・信忠の率いる軍勢は、 武田氏が崇拝していた諏訪大社上社本宮を焼き討ちにします。この時、社殿等は全て焼失しましたが、隣接する法華寺は類焼を免れました。その後、そこへ信長が到着しましたわけですが、ライバル武田信玄が敬った諏訪大社が焼け焦げ、灰じんと化している様を眺められるこの寺を陣所としたあたりが、信長らしい気がします。
さて、信長はここに2週間ほど滞在するのですが、その間、徳川家康をはじめ武田討伐に加わった多くの武将が謁見にやって来ます。そして、武田征伐の論功行賞もここで行われました。そして、この時の戦勝祝いの席で事件が起こります。今日のその時です(NHK風)。
空気読めよ、光秀
信玄以来、長年のライバルであった武田家を滅ぼした安堵からか、「これで私も骨を折った甲斐があった」と明智光秀が口にしました。特段おかしなことを言ってはいないのですが、この言葉を聞いた信長は激怒します。
「お前ごときが何をしたというのだ!」
光秀は諸将らの前で、殴られ、蹴られ、まぁ要するに、ボッコボッコにされたわけです。
信長の激怒の原因については、光秀の発言を「滅ぼしたのは自分(光秀)一人の力」と解釈したとか、息子・信忠に手柄を立たせたかったからとか言われています。今風に言えば、光秀が空気を読まなかったということでしょう。
マジで空気読めよ、光秀
光秀って、わりと人格者というか常識人というか、まぁ、良い人として描かれることが多いですよね。でも、私、諏訪での光秀の振る舞いからはそういうイメージをもてないんです。
実は前述の祝賀会の前に、一つ、光秀はやらかしているのです。
信長が諏訪に到着すると、信長は模擬戦を企画します。まぁ、武田を倒した後に行った余興のお遊びの戦争ごっこです。
ザックリと説明すると、この模擬戦は2チームに分かれて行われました。一つはもちろん信長チーム。対戦チームのリーダーに選ばれたのが光秀でした。
さて、もし、あなたが光秀だったらどうしますか?
考えるまでもありません。普通、そこそこ頑張って、勝ちは上司である信長に譲りますよね。そして、「いや、さすがは親方様!!」ってなもんです。
ところが、ところがです。あのバカは、光秀は、ガチで勝負を挑み、信長に大勝利したそうです。実戦だったら信長チームは全滅するくらいの鮮やかな勝ちっぷりだったそうです。
ライバルをやっつけた晴れ晴れしいタイミングにやることか?いや、マジで空気読もうよ光秀。
私、このエピソードを聞いて以来、光秀のイメージがだいぶ変わりました。
こういうこともあった後で、先に書いた祝賀会での光秀の発言があったわけです。
まぁ、信長が切れてもしょうがないような気がします。というか、模擬戦の後に光秀を称えた信長こそが人格者だと思う。
この時の屈辱が原因になった?
武田を征服し、天下取りに王手をした状態の信長でしたが、この事件から2ヶ月も経たぬうちに、信長は京都の本能寺にて光秀に攻められ自害します。
事変があまりにも唐突に感じるため、そして、諏訪での事件から日が浅いことなどから、この時の屈辱的な仕打ちが本能寺の変の遠因となっているのではないかと言われています。
まぁ、神罰・仏罰の類は論外ですが、私は怨恨説ってのもあまりしっくりこないし、好きではないです。あの状況なら、天下を狙って本能寺に攻め入ったのだろうと考えているので、私の中では、この話はまぁ、そういう話もあった的なエピソードなのですが、それでも、ドラマなどでよく使われる、あのシーンが地元のお寺が舞台だったと知った時は少し興奮しました。
もしかしたら、もしかしたら、ここで日本史が動いたのかもしれないって。
それにここに信長や、光秀や、家康などといった名だたる武将が集合したのかと思うと、歴史好きとしてはワクテカが止まりません。
では、また。