これまで、何回か御柱祭に関して書いてきましたが、同じ御柱祭でも諏訪大社の上社と下社では行程が違うと書いてきましたが、見た目についても違いがあります。
今日はそんな上社の御柱と下社の御柱の違いについてです。
上社の御柱のメド梃子
諏訪大社上社の本宮を参拝経路通り進むと布橋の左手の絵馬堂に御柱祭で実際に使われたメド梃子が展示されています。
これです。このVの字の柱がメド梃子です。お祭りの際はこれを御柱の前後に角のように立てて使います。
メド梃子の最上部からは綱がのびています(写真右下へのびる綱)。両方のメド梃子からのびており、これを氏子が引っ張り合って、御柱を左右に振ります。こうしながら、他の多くの氏子が御柱に結ばれた曳き綱を引いて前に進んでいきます。
かつては砂地の道を進んだため、柱を振らないと柱が地面に沈み込んでしまったらしいです。また、なにもついていない丸太状態の柱を曳いた場合、勢いよく引いてしまうと、柱がゴロンと回ってしまうことがあり危険なため、安全装置としての意味もあるそうです。
ですので、このメド梃子、下社の柱にもつければ良いのですが、下社の御柱は基本的にはこのメド梃子がありません。下社の御柱は狭い山道を進むため、このメド梃子をつけて進むことはできないのです。
有名な下社の木落しのシーンを思い出してみてください。角、生えてましたか?太いただの丸太ですよね。TVで見て、角があったら上社。角がなければ下社です。メド梃子は上社の御柱のシンボルなのです。
氏子がのぼって祭りを盛り上げる
メド梃子には氏子が乗れるように足場が作られています。メド梃子にブランっとUの字の綱がついていますが、これに足をかけて乗ります。
左右に10名ほどが乗り、オンべを振って祭りを盛り上げます。写真の中央左に案内の写真が写っていますが、これは上社の木落しの様子です。木落しもこのまま、人がたくさん乗った状態で行います。川越しもそうです。
写真は前回の御柱の様子です。
御柱は地面を曳きずって進むので、何処に柱があるのか分からなくなることがあります。
下社の場合、「あの辺、人だかりができてるから、あの辺に柱があるのかな?」なんて具合で柱を曳くのですが、上社ではこの目立つメド梃子があるのでどこに柱があるのか一目瞭然です。
メド梃子もそうですが、綱や梃子などお祭りに使うものは地区ごと職人らを中心にこだわりをもって作られたものです。昔から伝わっている工夫や技術が多く採り入れられており、大勢の氏子が楽しく安全に曳行ができるようになっているのです。
木落しや川越しといったシーンばかりでなく、こういったものにも注目していくと面白いと思います。
では、また。