時々、無性に肉が喰いたくなることありませんか?
それも、ただ「美味しいお肉を食べたい」って言うんじゃなくて、食欲のさらに奥深く、もっと動物的な原初の欲望というか、本能とか野生に訴えるような衝動。
あぁ… 肉が、肉が喰いたい…
と、いうわけで、先週、良く分からん衝動に駆り立てられて、大自然の中へ多少ワイルドな感じに肉を喰らいに行ってきました。
鉄平石で肉を焼いて喰ったら美味いんじゃなかろうか
子供の頃に何かのTV番組か映画で見て以来やってみたいと思っていたことがあるんです。それは鉄板や網ではなく自然石を使って肉を焼いて喰うってこと。
コレ、美味いんじゃなかろうか。いや、絶対に美味い。
YouTubeでも海外のブッシュクラフトの動画なんかを見ていると、時々あるんですよね。焚き火の中に平たい石をぶっ込んで、その上で肉を焼いてモリモリと喰っているような動画が。
なんでだろうな。どうして欧米人って肉食ってるだけなのに格好良く見えるんだろう。ズルいよな、アレ。見ているとついつい真似してみたくなっちゃう。
そして肉もスゴく美味そう。絶対にゴムサンダルみたいな大して美味くもないステーキのはずなのに。スゴく美味そう。
よし。俺も焼こう。そして喰おう。
そうと決まれば鉄板代わりになる自然石の調達です。
まぁ、そのへんの河原で適当な石を拾ってきても良いし、そんな適当さがあったほうがよりワイルドでブッシュクラフト的な感じではあるのですが、それだとこのブログで記事にする意味がない。
ブログタイトル「ヘソで茶をわかす」のヘソとは日本のヘソ諏訪湖のこと。そう、自分でも忘れがちだが、このブログは地元諏訪を紹介することが目的のはずのブログ。
ならば諏訪らしい石で肉を焼こうではないか。
とうわけで、地元諏訪の特産品でもある「鉄平石」で肉を焼いてみようと思います。
諏訪の特産品の鉄平石ってどんな石?
さて、調理に使う石は鉄平石と決定したわけですが、皆さん、そもそも鉄平石ってご存知ですか?
本題に行く前に、ちょっとだけ鉄平石の説明をさせて下さい。「早く肉を焼け!!」って方は次の大見出しまでスクロールお願いします。
鉄平石とは霧ヶ峰から流れ出た溶岩が固まったもの
鉄平石はおよそ2,500万年前の火山活動によって形成されていると推測されている輝石安山岩で、長野県の諏訪地方・佐久地方に広く分布しています。
諏訪地方で産出されている鉄平石は、かつて霧ヶ峰から流れ出た溶岩が固まってできたもので、板状節理が発達し平らな板状に剥がれやすい性質があり、尚且つ、滑らかで熱や寒さに強く、酸にも耐えるという特徴から建築用の内装外装用石材として広く利用されています。
鉄平石は建築用資材として使われることが多い
前述の通り、鉄平石は建築資材として使われることが多いです。江戸時代から屋根の押し石などとして利用され始め、明治時代には石葺屋根が葺かれました。かつては石葺屋根が諏訪地方の家屋の特徴だったそうです。
最近は軽くて丈夫な素材があるので、利便性の面から、あえて重い鉄平石を使う石葺屋根の一般住宅を見かけることは殆どありませんが、歴史的な建造物などはこの石葺屋根を使っているものが少なくありませんし、最近建てられたものでも、その風合いを活かしてあえて鉄平石を建材として使っているものもあります。
藤森照信さんの設計で建てられたことでも有名な神長官守矢史料館の屋根は鉄平石の石葺屋根が葺かれています。
こうして見てみると素朴な感じがなかなか良いですよね。
諏訪鉄平石開拓史碑
中央線の開通を機に主に建築材として全国に出荷されるようになると、その採掘も本格化していきます。
昭和36年には諏訪鉄平石の採掘関係者によって鉄平石開砿史碑も建立されました。
この周辺には鉄平石の採掘場が何ヶ所もあり、現在でも操業しています。子供の頃、社会科見学で藤森鉄平石さんの福沢山採石場採掘の見学をした記憶があります。
鉄平石で肉を焼いて喰らうための準備
さて、ようやく本題。ここまでの内容で一つの記事として完結させても良さそうな気もしたのだけれど、石の説明だけじゃ誰も読んでくれないからね。実際、読まずにスクロールした人のほうが多いだろ?w
さぁ、肉焼くよ!!
諏訪鉄平石の調達
鉄平石は諏訪人にとっては馴染み深いありふれた石です。漬物石などとして使われることも多かったので古い家ならば数枚どころか数ダースの鉄平石の漬け物が転がっていることでしょう。
そういう石を使ってもよいのですが、折角なので山に探しに行きました。沢や道を切り拓いたような場所で結構見つかります。
ありました。鉄平石です。すべて水平方向にキレイに薄く割れ目が入っているのわかりますか? これをペラリと剥がして使います。
これなんて良さそうです。
分厚目の石をよく焼いて、焚き火から取り出したその石で焼肉ってのも面白そうですが、どの程度焼けば良いのか分かりませんので、とりあえず今回は無難に薄めの石をチョイスし、石を火にかけたまま調理することにします。
土やら苔やらをたわしでキレイに洗い落としてから使います。
カマドスマートグリルB6のデビュー戦
鉄平石を調達後、西友で食材を購入していつものキャンプ場へやって来ました。下諏訪町のいずみ湖キャンプ場。
ここ、無料なのにトイレも炊事場もあって非常に便利。ただ注意点もあって直火による焚き火は禁止です。
ですからBBQなどをするのであれば、バーベキューコンロや焚き火台が絶対に必要になります。
私もそのつもりで焚き火道具を持っていきました。お気に入りのSOLOストーブとGW前に購入したカマドスマートグリルB6です。
どちらも過去に記事にしていますので、よかったらどうぞ。
キャプテンスタッグの折りたたみ式の焚火台、カマドスマートグリルB6型を買ってみた
燃料も食材も山の恵み Solo Stove(ソロストーブ)で山菜の天ぷら作ってみた
焚き火をするには小さすぎる気もしますが、一人ですからコレで十分です。立派な焚き火台でやると火の始末も面倒ですし。
前日に雨が降っていて、燃料にする枯れ枝などが湿ってしまっていたので、当初は燃焼効率の良いソロストーブでやるつもりだったのですが、いざやってみると燃料の小枝の投入が困難だったため、途中からカマドスマートグリルに変更しました。
ソロストーブで十分大きくなった火をそのままカマドスマートグリルに移したので、湿っぽい枝でも直ぐに火がつき、十分な火力を確保できました。
鉄平石の上で焼いた肉を食す
肉の味を楽しむため、味付けはシンプルに塩コショウのみ
焚き火で鉄平石もチンチンに熱され、肉を焼く準備も整いました。いよいよお肉の登場です。
せっかくの週末です。そこそこ良い肉買ってきました。
国産黒毛和牛のステーキ肉とラムの骨付きロースです。どちらにするか悩んだ挙句、決められなかったので両方購入しました。
味付けは塩コショウのみ。
いつまでたっても使い終わらないコストコのブラックペッパーと岩塩です。一人暮らしには多すぎますね。コストコ。
まずは国産和牛ステーキ
薪をドンドン投入して鉄平石をさらに焼きます。良きところで牛脂を投入。鉄平石全体に油が回ったところでいよいよ肉を焼いていきます。
まずは国産和牛ステーキです。
さぁ、行きますよ。
ど~~~ん!!
写真でも肉と鉄平石の間で脂が泡のようになってパチパチと跳ねているのがわかりますよね。
脂の跳ねる音と肉の焼ける匂い、そして焚き火の揺らめき。
控えめに言って、最高です!!
音と匂いを楽しみながら、まずは一杯やります。
日帰りなのでアルコールを飲むわけにはいかず、やむを得ず、泣く泣くノンアルコールのビアテイスト飲料で我慢です。
これがもしスーパードライだったら…
いや、言うまい。今日は肉を喰らいに来たんだ。
そう。肉さえ美味ければ良いじゃないか!!
なんて思っているうちに焼けました。
切ってみると中身も良い色です。
その色を見た瞬間に勝利を確信しました。優勝です。
食べてみるとヤッパリ美味い!!
脂の甘さも良いのですが、この程よく喰い応えのある赤身の美味さよ。
第二回戦 ラムチョップ
牛肉を喰らった時点でもう既に幸せの絶頂にいるわけですが、更にもう一品焼いていきます。
ラムの骨付きロース、いわゆるラムチョップを焼いていきます。
骨付き肉。焚き火。
このキーワードだけで、もはや説明不要。美味いに決まっている。
説明不要とは言いながらも、なにも書かないと検索されないのでちょっと書くと、ラムチョップは、ラム(生後5~12ヶ月の子羊)のアバラ肉を骨付のお肉のことなわけだけれど、「チョップ」の方の由来は、カット(切る)ではなくて、チョップ、つまりぶった斬らないと、肋骨が付いた状態で切れないからだそうで、なんとも鉄平石を使った野性味のある調理にはぴったりな食材のような気がします。
こちらも塩コショウをしてジックリと焼いていきました。
これも美味い!!
柔らかいし臭みもまったくない。普段食べているジンギスカンの羊肉とは完全に別物ですね。
やはりノンアルコールのビアテイスト飲料ではなく本物のビールが欲しいところです…
反省と感想
最初に書いた通り、「諏訪のことも書かないといけないな」と思って、半ばムリしてねじ込むように鉄平石を利用してみましたが、結果的には大成功でした。
これホント美味しいから一度試してもらいたい。
鉄平石がなければ他の自然石でも良いし、なんか探してみたら結構あるんですよね。BBQ用の自然石とか溶岩の板って。
いやぁ、それにしても美味しかった。地元で手軽に食べられるお店とかないものかな。探してみればありそうなものだけれど。
ジビエ、鹿食免、鉄平石。結構良い組み合わせだと思うし、どこかの店でやっていないだろうか。
ホント美味しくて、大満足でした。反省点といえばビールがなかったことくらいだろうか。
とは言え、このことは非常に大きな減点でした。
土日と連休が取れるのであれば、そのままキャンプをしてしまえば良いのでビールも飲めるのですが、仕事の都合上なかなか連休が取れないし…
ただ、過去に早朝に馬鹿なことをやっていることを思えば、日曜にキャンプして、月曜早朝に撤収すれば何とかなるのか?
朝活で登山。山頂で朝飯がてら、山コーヒー&山ごはんを楽しんできました【エクストリーム出社】 - ヘソで茶をわかす
でも、これから寒くなるしなぁ… まぁ、ちょっと検討してみましょう。
では、また。
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